支払い拒否や、未払いをゼロにする、フリーランスが契約トラブルを未然に防ぐ5つのステップ

フリーランス契約トラブル

「報酬の未払い」「報酬の支払い拒否」は、フリーランスにとってけっして珍しいトラブルではありません。

クライアントに最初から支払うつもりがない場合もあります。また、誤解によるトラブルもあります。

私は、海外でフリーランスをし、顧客の全員と英語でやりとりしていたので、自分ではなく、相手の英語力不足によりトラブルによってトラブルが起きたこともあります。

この記事では、報酬受け取り率を 100% にするために、以下の問題を未然に防ぐ方法を紹介します。

  1. 最初から支払う気がゼロの悪意がある顧客と契約する
  2. クライアントが成果物にたいして不満を持ち、支払いを拒否する
  3. 仕事の途中で相手の都合でプロジェクトがキャンセルされて、支払いを拒否される

1. 取引先が信用できるか確認する

人気格闘漫画『グラップラー刃牙』には「真の護身が完成したのなら、 危うきには出会えぬ」という名言があります。

ビジネスでも最大の自衛は危うきには近づかぬこと、つまり信用できる取引先だけと取引をすることです。

でも、「信頼できる=大手」なんですよ。新米のフリーランスが大手と取引するのは難しい。

または、大手の翻訳代理店やシステム開発会社の下請けとして、タスクを受注するのもありですが、それってスケーラブルではないんですよね。

また私のようにリモートで海外とばかり取引をする人、聞いたこともない企業とばかり取引をする人は、相手が信用に足るか、自分で一から調べて判断しなければなりません。

というわけで、私は、以下を判断材料にしています。

  • 会社のウェブ上での評判
  • 担当者のウェブ上での評判(LinkedInなど)
  • クラウドソーシングサイトを使った支払いを提案したときの反応
  • 少額の前払いをお願いしたときの反応
  • 素直に「プロジェクトには興味があるけど、今の時点ではあなたを信じることが難しい。なにか良い解決案はないか?」と相談したときの反応

とにかく判断材料を増やすことが鍵です。判断材料が多いほど、より正確な判断ができます。

2. メディアに露出し、自分の信用を高めると有利に交渉できる

ビジネスの交渉は「どちらが正しいか」を決定するディベートではありません。互いのカードを見せて、牽制しながら、自分に有利な合意を得る、パワーゲームです。

自分のカードが弱ければ、有利に交渉を進めることはできません。

しかし、理屈が通らないことはできません。フリーランスと顧客の交渉は「お互いに信用できない」から、顧客は成果物を受け取ってから支払いをし、フリーランスは仕事をする前に支払いを受け取ることを望みます。

この前提を壊し、「あなたは私を信用できるけど、私はあなたを信用できないから、あなたが譲歩すべきだ」という理屈を作ります。

私は、自分の信用を高めるために、積極的にLinkedInのレビューを増やし、ライフハッカー[日本版]に実名で寄稿し、また他のメディアからの取材も積極的に受けています。

そして、お客さんに「私のことを信用できないなら、私の名前で検索して欲しい。また、LinkedInでレビューしてくれた人に問い合わせればいい」と伝えています。

また、自分で小規模でもメディアを持っていれば、何かあったときに「この取引先で、こんなトラブルがあった」とSNSで炎上させることができる、と相手がかってに警戒してくれます。

3. 前払い+少額契約で信用を築く

大きなプロジェクトを受注して、1ヶ月丸々そのプロジェクトだけに時間を注ぎ、未払いのまま連絡が途絶えた。そうなったら最悪ですよね。

フリーランスは万が一に備えて、信用がないクライアントと働くときは、未払いのリスクを小さくするために、少額のプロジェクトだけを受注するか、半分の成果物に対して、マイルストーン払いを依頼しましょう。

マイルストーン払いとは、作業工程ごとに予算を決めて分割払いすることです。

これを細かく決めれば、リスクを最小限にできます。

私は、前述の通り「あなたは私を信用できるけど、私はあなたを信用できないから、あなたが譲歩すべきだ」という理屈で、全額または50%の前払いを要求することもあります。

4. 書面で細かく内容を合意する

未払いは、一方的に顧客が悪いとは限りません。

成果物と合意内容に関する意見が一致せず、「報酬の支払いを拒否」される場合もあります。フリーランスは、正式な契約書をいつも作る必要はありませんが、成果物や支払いのタイミングについては、書面やメールなど、必ず文書で合意し、記録すべきです。

最低限、以下は合意しましょう。

  1. 支払い:金額、支払いの締め切り、支払い方法(振り込み、PayPalなど
  2. 成果物:成果物の数や品質基準、仕様、修正依頼の回数
  3. マイルストーン払い

また、顧客が成果物の仕様やリクエスト内容を変更するのはよくあることです。それを伝え忘れることもよくあります。本格的に作業を始める前に、かならず仕様の確認をしましょう。

5. 前回のトラブルから学び、合意のテンプレートを更新する

どれだけ気をつけてもトラブルは起きます。

とくに、書面での合意内容は、予期せぬ事態をカバーできません。予期せぬ事態は、一度起きたら予期せぬ事態ではありません。私は「合意内容チェックリスト」を作って、トラブルが起きるたびに、これを更新しています。


フリーランスは獣道です。何の標識もない道なき道を、ときには経験すら役に立たない未知の世界を、自分の知恵だけを頼りに進まなければなりません。しかし、そんなサバイバルが、フリーランスの醍醐味でもあります。