防災、アウトドア、自宅で使える、多目的なカセットコンロの選び方
カセットコンロとは、カセットガス(カセットボンベ)を燃料にして火をおこす調理器具です。重さは約1kgから3㎏くらいで、災害時にも、アウトドアでも、自宅の鍋パーティーでも使えるので、ぜひ一家に一台は持っておきたいアイテムです。
防災グッズは、予算、家族構成、住宅などによって備えるべきものがことなるので「正解」はありません。
しかし、東日本大震災ではガス・電気・水道といったライフラインが断絶し、ガスの復旧は34日もかかりました。阪神大震災では、61日です。ちなみに、閣府による首都直下地震等による東京の被害想定によれば、各ライフラインの復旧目標日数は、電気で6日、上水道で30日、ガスで55日となっています。(参照:備蓄品はこれが必要(知る防災) – 日本気象協会 tenki.jp)
ガスの復旧は遅くなることから、カセットコンロと、ガスボンベを多く備蓄しておく必要があります。
とはいえ、起きるかもわからない災害に備えるために、1万円も2万円もかけるのは、どうしても抵抗がありますよね。
この記事では、災害だけでなく、普段使いもできるガスコンロの選び方を紹介します。
熱効率(=コスパの高さ)は最重要
コンロには、外炎式バーナーと、内炎式バーナーがあります。一般的なカセットコンロは、熱が分散しやすい外炎式バーナーを使用しています。つまり、熱効率が悪い=コスパが悪い=ボンベの消費量が多い=備蓄しなきゃいけないボンベのが増える、ということです。
内炎式バーナーのほうが、いわゆる上位モデルであるため、少しだけ値段がはります。また、内炎式は構造上鍋の中心部を強く加熱するので、焼き肉など、プレートなどを利用した場合に外側の温度が上がりにくいのも特徴です。
鍋や、災害時に湯を沸かすなどの場合は、内炎式バーナーがおすすめです。
(参照:「内炎式」と「外炎式」はどう違う? 実は奥深い「カセットコンロの微妙な差」をイワタニで聞いてきた | GetNavi web ゲットナビ)
連続燃焼時間が長いほうがいいと書いてあるブログもありますが、これは間違いです。連続燃焼時間とは、最大火力でカセットボンベ1本を使い切るまでにかかる時間です。当然、最大火力が低いほうが連続燃焼時間は長くなります。
例えば、お湯をガスで沸かすのに、弱火で時間を掛けて、強火ですぐ、のどちらがガス代が安いと思いますか?正解は強火です。コンロでお湯を沸かす間も、お湯やヤカンから熱は逃げ続けます。強火で一気に温めて、魔法瓶に移すのが一番効率です。
とはいえ、強火にしすぎると、ヤカンからはみ出た炎の方が無駄になってしまいます。内炎式バーナーの場合は、それを防げるので、やはり内炎式バーナーのほうが高コスパです。
内炎式バーナーのデメリットは、ラインアップが少ないことくらいです。
信頼性と耐久性が高く、7年から10年使えるもの
カセットボンベだけでなく、カセットコンロにも使用期限はあります。一般的に、7年から10年が使用期限です。問題なく使えていたとしても、使用期限を迎えたら、安全のために新しいものを買ったほうが良いでしょう。
とはいえ、地震で高いところから落ちて破損したり、もともと粗悪品だったりした場合は、すぐに使えなくなります。
そのため、多少高くても、専用のケースが付属している、イワタニなどの信頼できるメーカーのカセットコンロを購入したほうが良いでしょう。万が一粗悪品だった場合、必要な時に使えずお金が無駄になるだけでなく、最悪の場合、カセットボンベが爆発して大けがをする恐れもあります。
安全性は必須
イワタニなど、有名メーカーのカセットコンロには、さまざまな安全装置がついています。例えば、マグネット式のカセットボンベの着脱です。通常のボンベ着脱が簡単なだけでなく、コンロが過剰に加熱された場合、自動でボンベが外れるため安全に使用できます。
また、薄型は注意が必要です。加熱された鍋と、ボンベが近いと、ボンベに熱がこもり、爆発の恐れもあります。マグネット式の場合、安全装置が働いて、自動的に火が消えます。
風防性は必要?
「防災用としてカセットコンロを購入するときは、風に強くアウトドアでも使えるものを選ぶようにしましょう。」というブログもありますが、風防性は不要です。災害時で風防性が必要になるシーンは、巨大隕石とか「風を防ぐ壁がなくなる」レベルの災害です。
そもそも、鉄筋コンクリートのマンションで、津波の被害にあわない階に住んでいるなら「自宅避難」できます。震災になれば、電気・ガス・水道などのすべてのインフラが数日間停止してしまいます。しかし、水、カセットコンロ、簡易トイレ(ビニール袋と固形剤がセットされたもの)、非常用ライト、非常食があれば、工夫すれば1週間から2週間くらいなら自宅で生活できるでしょう。温かい毛布も、快適なベッドもあるし、避難所や外と比べればほぼ普段通りの生活ができます。
そして、避難所も壁はあります。避難所すらなくなるレベルの災害だったら、もうカセットコンロうんぬんの前に生きていないでしょう。
おすすめのカセットコンロ
イワタニ カセットフー エコプレミアム
おそらく、これがコスパ最強です。内炎式バーナーなので、ガスをコスパよく使えます。
いいところ
- 内炎式バーナー
- いい感じなデザイン
- 大型鍋使用可
- 炎が安定しているので、かなりギリギリのトロ火まで落とすことができる
びみょうなところ
- 専用ケースがない(でも、低いところにおいて、緩衝材を詰めれば大丈夫)
- あまり薄くない
カセットフー 風まる2
- カセットと鍋の隙間が大きい
- 風防ユニット
- 専用キャリーケース
- 大なべ使用OK
- ヒートプレートなし
イワタニ カセットフー 達人スリム 【うす型コンロ / 高さ74mm】
- タテ型炎口バーナー
- 安全装置:圧力感知安全装置
- 容器着脱方式:マグネット方式
- フッ素加工でお手入れ簡単
逆にお勧めできないカセットコンロ
無印のカセットコンロ・ミニ
- 内炎式は魅力
- ミニはケースも付属している
- シンプル
でも、
- ミニは小さすぎて、使用できる鍋の大きさが内径20cmまで
- ガスボンベの容器カバーを覆ってしまうような大きな調理器具を使うと、カセットこんろ内に熱がこもってしまい、ガスボンベが爆発してしまう恐れがある
- 絶望的に風に弱いデザイン(参照:キャンプに使えるの?不向きでは?無印良品 カセットこんろ・ミニ。 – Misoji × Camp)
- 最大発熱量に対する価格を見ると、無印はかなり弱い?
- 無印のカセットこんろミニ :1,500kcal/h:本体5000円、ケース2000円
- イワタニ 風まる:3,000kcal/h:(ケース付)実売 約¥4,000
- イワタニ タフマル:2,800kcal/h(ケース付)実売約¥8,000
- イワタニ マーベラス II :3,000kcal/h:約¥15,000
最大火力が半分です。
ガスボンベの保管と、備蓄に必要なカセットボンベの量
必要な防災用カセットボンベの数は、季節、天候、人数によってことなります。ガスボンベは、火の近くや直射日光の当たる場所を避け、40℃以下の湿度が低い安全な場所に保管しましょう。使用期限は、購入から約7年が目安です。
カセットコンロはカセットボンベがなければ使用できません。各家庭の備蓄に適した量を準備しておきましょう。 カセットボンベがⅠ週間にどれほど必要なのか、イワタニが試算した図が非常にわかりやすいのでご紹介します
気温が10℃の場合
気温が25℃の場合
気温が低ければもちろん、必要な熱エネルギーは多くなるのでこのような差が生じます。
ここに書かれたのは、あくまでも大人二人で一週間に必要な数ですが、首都圏の直下型地震が起きた場合、55日間ガスなしで生活しなければならない恐れもあります。55日間はほぼ8週間です。つまり、単純計算で大人二人で72本のカセットガスが必要になります。また7日間なら、シャワーなし、温かい濡れタオルで体をぬぐうだけでもいいでしょう。55日間は、さすがに風呂とシャワーなしで生活するのは精神的にかなりつらいでしょう。そのため、100本あってもいいくらいです。災害はいつ起きるかもわからないので、早めに備蓄したいですね。
収納スペースがない場合、固形燃料もおすすめ?
一人暮らしで収納スペースがない場合は、固形燃料と、専用のストーブもありかもしれません。専用のストーブは500円、固形燃料は40個1000円くらいで買えます。とはいえ、コスパは悪いそうです。着火剤としては悪くないので、木製の家具を燃料替わりに燃やす際には役立ちます。ただし、建築用の材木には、燃やすと有毒なガスを放出する防腐剤や塗料が塗られたものもあるので、本当に最後の手段です。
まとめ
やはり、おすすめはカセットコンロとカセットガスの組み合わせですね。2人暮らしの場合、55日間のガスなし生活に備えるには、2万円近くの初期投資が必要になりますが、カセットコンロは10年間使えて、ガスは7年間保管できる上、期限が切れそうになったら、鍋や焼き肉に使えるので、7年で2万円(1年3000円以下、1か月250円以下)と考えればよい投資だと思います。
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