ノマドワーク・フリーランスを始める前に知っておきたい5つの法律と手続き
開業届、記帳、簿記、青色申告。。。毎年新しい確定申告の本が出版されたり、ネット上にも情報はあふれていますが、どれ読んでも「結局、私の場合は何をすればいいの?」です。
例えば、確定申告の本を読むと、その時はなんとなくわかった気になるのですが、「最初に何をしたらいいんだろ?」と手が止まります。本にもネットにもたくさん情報がありますが、自分のビジネスと今の状態に当てはめるのがヤヤコシイんです。
しかも、出来たら出来たで「本当にこれでいいの?」「後で税務署が追加徴税とかされない?」と不安だらけです。
というわけで、この章ではパソコンひとつでリモートで働くノマドワーカーのために、ステップ・バイ・ステップで何をしたらいいのかご紹介します。
1. フリーランスを始めたいけど、開業届?確定申告?まずは、税務署に相談しよう。
確定申告も開業届も、近所の税務署で行うので、フリーランスで必要な手続きのほとんどは税務署でできます。所得税、フリーランスの営業所得、経費をどうするかなどの相談は電話または地元の税務署で相談できます。
予約はできないし、1時間くらい待つこともありますが、けっこう親切に相談に乗ってくれます。
事前に質問リストを作っていきましょう。
青色申告の特別控除65万円って何?
控除は経費のようなものです。特別65万円とは、65万円税金が安くなるのではなく、課税所得が低くなります。課税所得とは「収入 – 経費 – 所得控除」です。一般的に利益と呼ばれているものに近いのが課税所得です。所得税は、「課税所得 x 所得税率 – 税額控除」なので、65万円も税金が安くなることはありません。節税額は、課税所得の金額によって変わりますが、課税所得が500万円でも20万くらいにしかなりません。
ちなみに、確定申告書類は税務署で受け取る用紙でなく、会計ソフトから印刷したものでも大丈夫です。
ちなみに、開業届は1か月以内に提出すると言われていますが、実際にはよほどの金額を稼いだり、不動産所得がない限りは、いつ提出しても大丈夫です。開業届を出していないからと言って法律で罰せられることも、罰金や追徴課税が課せられることもありません。
開業届を提出すると帳簿をつけなきゃいけないので、税理士を雇うか自分で簿記を学ばなきゃいけません。開業届を提出すると、青色申告で65万円特別控除を活用できます。
海外旅行しながら、海外で稼いだお金はどういう扱い?
所得税法上、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人を「居住者」とし、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。この場合の「住所」とは、単なる住民票の登録ではなく、個人の生活の本拠のことをさし、その人の生活の中心がどこかで判定されます。そして、1年に満たない期間の海外勤務では、上記の「居住者」となり、所得について、日本での納税義務が生じます。他方、1年以上の期間の予定で海外に転勤する場合は、「非居住者」となります。この「非居住者」の課税については、日本国内で稼いだ「国内源泉所得」のみが課税所得となります。
フリーランス等個人事業主の場合、103万円の収入ではなく所得(=収入-経費)が38万円(基礎控除)以下でなければ、確定申告をしますので、結果、所得税がかかることになりますね。
クラウドソーシングサイトの取引明細、PO、Invoiceは英語でOK?
確定申告の際、取引明細、PO、Invoiceなどの書類を提出する必要はないので、英語のままで大丈夫です。税務署はあなたの申告内容を不審に思った場合に、税務署が申告内容の証拠を要求します。そのとき初めて書類が実際に必要なります。もちろん、税務署の人が英語をできるとは限らないので、日本語で内容を説明する必要がありますが、認証を受けた翻訳会社に依頼して日本語訳する必要はありません。
売上や手数料などの明細はクラウドソーシングサイトにありますが、これらの書類は7年間保存することが義務付けられているので、サービス終了に備えてすべて保存しておいたほうが良いでしょう。
日本で働くときに海外の銀行を振込先にしたらどうなる?
通常、所得税の課税時期は、「収入を得る権利が確定した時点」と考えます。そのため、所在地が日本の場合は、振込先が海外であっても日本で納税します。ただし、振込先の銀行の所在国によっては、そうでないこともありえます。通常は租税条約で二重課税や海外所得隠しを防ぐのですが、発展途上国やタックスヘブンと呼ばれる国では例外もありえるでしょう。
Paypalなどの資金移動サービスのクレジットは非課税?あるいはプール?
通常の場合、所得税の課税時期は、「収入を得る権利が確定した時点」と考えます。現実に支払いがなされるタイミングよりも早いタイミングで課税対象の所得とされるのが原則です。「ウェブデザインを完成させて納入する」という仕事を請け負う場合、通常は発注者にその製品を納入した段階で代金を得る権利が確定することが多いはずです。したがってこの場合、納入時点で課税所得が発生したと考えることになります。
ただし、収入を得る権利が確定するタイミングは、個別の契約の内容により異なってきます。したがって、正確な回答には契約書等のチェックが必要です。
外貨で収入があった場合、いつの為替相場を利用する?
通常は、収入を得る権利が確定した時点の為替相場を利用します。しかし、よほど稼いでもいない限りは月の平均でも大丈夫です。
重要なのは明確な基準を持つことです。例えば、1月はUFJが発表した1月1日の相場で、2月は別の銀行が発表した2月の平均のように、異なる基準で計算すると法律に触れる恐れがあります。
会計ソフトは早めに導入したほうがいい。
クラウドソーシングサイトを使えばGmailのアカウントを作るぐらいの手軽さでフリーランスとして働き始めることができます。でも、フリーランスでお金を稼ぐには、帳簿をつけたり、所得の申告をしたり、自分で国民年金を払ったり、面倒な手続きがたくさんあります。
でも、学生フリーランスや主婦フリーランス、副業フリーランスの方は、「続けるかわからないけど、とりあえずフリーランスを試してみたい」という人もいるでしょう。ご心配なく。12月にフリーランスを始めて1か月で20万円稼がない限り、最初から会計ソフトを買ったり、簿記をつけたり、個人事業主の届け出をする必要はありません。個人事業主の方が決算を行なう際には、1月1日から12月31日までの期間における売上金額と支出金額をまとめることになるから、1月1日にクラウドソーシングサイトを始めれば1年間かけてじっくりとフリーランスや個人事業について勉強できます。
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