絶対に知っておくべきなのに、誰も教えてくれないキャリア形成・人生設計の基礎哲学

キャリア開発

あなたが大学を卒業したばかりの22歳だとしたら、年金をもらえるまで40年以上あります。

あなたが80歳でこの世を去るとしたら、あなたは残り58年生きることになります。

2020年の43年前、1977年は大学入試センターが発足し、日本赤軍が日航機をハイジャックした年でした。国鉄の民営化はその10年後の1987年です。電電公社の民営化も8年後です。また、コモドール社が世界発のパソコンPET 2001を発売しました。コモドール社は1994年に倒産しています。

40年前の人たちは、今の日本と世界を想像できたでしょうか?タイムトラベルして、ゲームボーイでポケモン赤を開発した人に「20年後には、スマートホンでインターネットやGPSを使って3Dでポケモンをプレイできるよ」なんて言っても信じてもらえないどころか、そもそも想像すらできないでしょう。CDプレイヤーやMDプレイヤーの最盛期はシャープがここまで没落すると予想した社員はいないでしょう。

日本もあなたの会社も「いつか絶対に」衰退する

治安もいいし、景気も良い、年金制度も安定しているから老後の心配もないし、仕事はちょっときついけど共働きしなくても食べていけるし、終身雇用と年功序列があるから首にもされずに給料も上がり続けるから子供の教育費も心配ない。それに、経済はどんどん発展して、高かったテレビや車も安くなって誰でも買えるし、年功序列があるから住宅ローンの心配もせずにマイホームを買える。GDPは世界で3位に、そして二位なったし、一人当たりのGDPも世界でもトップクラスで、経済成長率も5%以上だから、日本は世界一豊かな国だ!

なんていうのは過去の話です。景気はどんどん悪くなり、バブルがはじけてからは失われた10年、次は平成不況、その次はリーマンショックで、実質的には1990年からずっと不景気で、もはやそれが不景気なのか、1990年以前の景気が良すぎだけで、今の不況が日本の本当の実力なのかもわかりません。

年金制度はいわずもがな、崩壊寸前です。実際に崩壊することは無いでしょうが、少子化が差に進めば、本来6人で1人の老人を支えるのが理想的だったのに、2人で1人、1人が2人を支えることになり、受給開始年齢が60歳から65歳になったように、今度は70歳からになり、厚生年金の支払額はさらに増え、若者が家どころか車すらも買えなくなる時代が来てしまいました

終身雇用と年功序列も崩壊し、サービス残業を断れば解雇はされずとも自主退職させるために陰湿ないじめをされたり、年功序列だから給料が上がるはずなのにむしろボーナスをカットされて、教育費を支払うあてが外れたり、減給のせいで買ったマンションのローンを払えなくなることもありえるでしょう。

一人当たりのGDPでも世界で25位になりました。さらにどんどん下がり、もはや経済大国とは呼べなくなるかもしれません。勝ち続けるギャンブラーがいないように、勝ち続ける国も存在しないのです。

「なんとかなる」と思うかもしれませんが、なんとかなる根拠や理由がなければ、なんとかならないのです。
ホームレス、自己破産、リストラなどの目に逢った人は「なんとかなる」と、楽観視していたでしょう。
あなたがそうなるとは言えません。しかし、あなたにも私にも起こりうることです。

日本依存と企業依存

企業依存とは、「会社を辞めたいけど、辞められない状況」のことです。スキルが無い、あるいは社内または特定の企業でしか通用しないスキルばかりを身につけてしまい、他の会社に転職できず、生活のために辞めることも出来ない人がきっとたくさんいるでしょう。

そうなると、会社が傾いて待遇が悪化し、スキルにもならない仕事ばかりさせられ、人間関係がもつれ、契約を維持するために取引先に土下座してお願いする日々が続き、家族がいるのに転勤を強要され、心の底から会社を辞めたくなっても、手元には「転職」カードが無く、あるのは「不満を抱え、精神を磨耗させながら働き続ける」「失業して路頭に迷う。娘の教育費はどうしよう・・。」「これ以上の重圧には堪えられない。自殺しよう・・・。」という非常に絶望的なカードばかりです。

日本依存でも同様のことが言えます。日本語このまま住みよい国であり続けるとは限りません。自分自身が気をつけていても、他の人がアホな政治家に投票してしまい、おかしな政策が施行されるかもしれません。子供手当てや、ベーシックインカムなど、貧困層への援助金が出され、豊かになった貧困層は生活苦を忘れて、子供を沢山作るも、財政が圧迫されて、援助金が廃止され、援助に頼っていた貧困層は路頭に迷い、貧困や社会不安からの犯罪が増加し、富裕層が夜に一人で出歩くことも出来ない社会になることもありえます。

また、理系教育の質が低下して、インド中国韓国に、車やエレクトロニクスの分野で後れを取り、国際競争力が低下し、売り上げや事業規模が落ち、系列会社や子会社、工場勤務者の多くが減給や解雇にあうこともありえるし、自分が解雇されることもありえるし、自分が解雇されなくても、従業員が減ったしわ寄せが自分に来ることもありえます。自分が気をつけていても、こればかりはどうしようもありません。

自分の選択肢を増やさないと、ジリ貧生活に追い込まれる

ブラック企業、契約社員、政府による増税など、弱いものがどんどん搾取されるようなニュースをよく聞きます。私はこれらのニュースを聞くたびに、「実に合理的である」と感心します。

ブラック企業が社員を搾取したり、政府が大増税をしたり、契約社員が使い捨てすることは、経済学的に(もっと言えば古典派などの経済学的)に言えば、悪いことではありません。むしろ、合理的なことなのです。

こういった搾取が成立する理由は、搾取する側が血も涙もない悪者だからでも、相手の都合を無視しているわけでもなく、相手の都合に合わせて自分の経済的合理性を追求していることが理由です。ブラック企業は、社員がブラック企業しか行き場が無いために存在し、契約社員は搾取して辞められても困らないから搾取され、政府は増税しても国民は逃げないし、暴動も起こさないから搾取できるのです。これは交渉の基本的な原理です。

心理学を駆使した交渉術よりも、確実に交渉に勝つための交渉戦略

交渉は、心理学を駆使した交渉術で結果が決まるわけではありません。持っているカード(選択肢)で決まるのです。

例えば、水の一滴どころかサボテンすらもない砂漠で、あなたは水を20リットル持っています。そこに、百万円を持ちながら、水の一滴も持たず、もう12時間のまず食わずで歩き続け、唾液の一滴もで無い遭難者と出会います。この水はいくらで売れるでしょうか?恐らく50万円以上で売れるでしょう。その理由は、あなたからに水を入手する選択肢が無いこと、水を強く求めていること、あなたは水を売らないという選択肢があるということです。

水を売る人がもう一人現れたとします。もしあなたとその人が価格カルテルを結ばなければ、水の価格は激減します。

このように交渉は、それに関わる人の「欲しい・売りたいという気持ちの強さ」と「選択肢の多さ」によって、決まります。

選択肢は持っているだけで効果があるので、わざわざフリーランスになったり、海外就職をする必要も転職する必要もありません。常にそれが出来る状態であるだけで、交渉は幾分か有利になります。

しかし、それだけでは足りません。相手の選択肢を奪うことが重要です。例えば、減給を言い渡されたとき、「会社を辞めても、仕事がある」というカードだけでは足りません。「あっ。そうなの、それならこっちも君の今後を心配しなくて済むよ。」と言われ、本当に仕事を辞めることになってしまうでしょう。減給を取り下げさせるためには、「辞められは困る」状況、つまり相手に「あなた」以外の選択肢が無く、「あなた」に依存しなければいけない状況を作り出せば良いのです。

おわりに

今は、大企業だからといって、終身雇用や年功序列を期待できる時代ではありません。残念ながら、自分の身は自分で守る時代です。このブログでは、そんな時代のキャリアサバイバルをちょいちょい紹介していきますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。