人工知能によって、本当に事務職はなくなるのか?

「人工知能により、人間の仕事が奪われる」

10年前は、まだSFのような話でした。しかし、ビッグデータや機械学習により、この話は現実味を帯びてきました。

オックスフォード大学は2013年に、一般・経理事務員、受付係、建設作業員、自動車組立工、自動車塗装工、スーパー店員、タクシー運転者、司法書士、公認会計士、弁理士などの仕事がロボットに取って代わられると予言していました。

自動運転車、機械学習を導入した会計ソフトなど、人工知能による作曲や画像認識などはありますが、意外と「一般事務」の自動化は進んでいないように思えます。

この記事では、本当に「一般事務」という職種が人工知能に取って代われるのか、またそれはどのように起きるのか説明します。

事務作業を自動化するのが難しい理由

簡潔に言うと、コンピュータは

  • データをインプットし、
  • 人間が決めたルールに従い処理し、
  • それをアウトプットする

という仕組みです。

一方で、人工知能を搭載したコンピュータは、

  • データをインプットし、
  • コンピュータが過去のデータから学んだパターンに従いデータを処理し、
  • それをアウトプットする

という仕組みです。

例えば、自動運転車は、そのために開発されたセンサーによりインプットし、そのために開発されたプログラムで処理し、そのために開発されたプログラムがアウトプット(ハンドル操作など)をします。これらをひとつあるいは複数の会社が協力して作っています。

一方で、事務作業には、すでに多くの複数の企業による複数のソフトウェアが使われています。MicrosoftのOutlookなどの電子メールソフトで注文書を受け取り、AdobeのPDFビュワーでそれを見て、Xeroxのコピー機で印刷し、人がそれにはんこを押し、それをスキャンし、メールで送り返すなどです。また、メールの相手方は違うソフトウェアを使っているかもしれません。このプロセスを、さきほどの自動運転車のように自動化するなら、取引先と自社が使っているソフトウェアの開発企業が協力する必要があります。

しかし、まったく別のアプローチで自動化するテクノロジーもあります。それが「デジタルレイバー(Digital Labor)」とも呼ばれる、RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションです。

RPAとは?

RPA(Robotic Process Automation)とは. ロボットによる業務自動化のことです。「デジタルレイバー(Digital Labor)」とも呼ばれています。AIの反復学習や機械学習を活用して、営業事務、注文処理、経理などのホワイトカラーの業務を代行します。

大企業の経営幹部たちは、人工知能の進化にともない、より実用的になりつつあるRPAの導入に強い関心を示しています。ロボットによる自動業務は、コストダウンだけではなく、100ステップ中に10回は起きるとされているヒューマンエラーをゼロにできるからです。

RPAの歴史は古く、1999年にはUWSC、AutoItなどのWindowsの作業を自動化するツールが登場していました。これらのツールは、ユーザーが行ったクリック、キー入力などの操作を記録して、それを編集し、実行するという単純なものでした。当時は、RPAとは呼ばれず、自動化ツールやマクロと呼ばれていました。そして、「連続してコピーペーストする」などの、非常にシンプルな工程の自動化しかできませんでした。

マクロがRPAと呼ばれるようになったのは、マクロに人工知能を活用するようになってからです。RPAとマクロは、根本的に違いはありません。まず、人がパソコンを操作し、それをコンピュータが記録し、それをコンピュータが再現するというものです。ちがいは、RPAは記録するだけでなく、学び、自分でパターンを作ることです。

これにより、WorkFusionなど複数のソフトウェアを横断した、より複雑な自動化ソフトウェアが登場しました。

RPAの導入によるなくなる仕事

システムへの転記や入力、複数システムの情報照会など、繰り返し型の定型業務はRPAで自動化が比較的簡単です。そのため、営業、経理、人事、総務、金融、医療、あらゆる分野で、事務仕事の多くがRPAにより自動化されるでしょう。

一方で、新規事業による新しい事務のプロセス、法律の変更による事務手続きの変更などには、RPAは適していません。

そのため、100%自動化されて、事務職員がゼロになるというのは考えにくいでしょう。しかし、100万件の受発注を、たった一人とRPAで処理する時代は、すぐそこにきています。

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